2026年10月15日
- 家づくり豆知識
美容室・サロンを居抜き物件で開業するには?改装前の確認ポイントと進め方
美容室やサロンを開業するときの選択肢のひとつに、前のお店の内装や設備が残った「居抜き物件」があります。
初期費用を抑えやすい一方で、設備がそのまま使えなかったり、手続きで工事のやり直しが必要になったりすることもあります。
この記事では、居抜き物件で美容室・サロンを開業するときに、契約前に確認したい設備のポイント、保健所や消防などの手続き、改装の進め方を順番に整理します。
浜松・磐田・袋井・掛川エリアで開業を考えている方の参考になればうれしいです。
結論:契約前に「設備・手続き・引き継ぐ範囲」を確かめます

先に結論をお伝えします。
居抜き物件で美容室・サロンを開くときは、賃貸借契約を結ぶ前に次の3つを確かめておくことが大切です。
- 設備:給排水・給湯・電気容量・換気・空調が、計画するお店に足りているか
- 手続き:保健所の確認検査に通る内装にできるか。建築や消防の手続きが必要か
- 引き継ぐ範囲:残っている内装や設備のうち、何を引き継ぎ、退去時にどこまで元に戻す必要があるか
前のお店が美容室だったとしても、席数やシャンプー台の数、使う機器が変われば、同じ設備で足りるとは限りません。
できれば物件を決める前に、改装を依頼する会社に現地を見てもらうと、工事費の見通しが立てやすくなります。
見るべき点を事前に整理しておくと、限られた内覧の時間でも必要な情報を集められます。
居抜き物件で確認したい設備のポイント

美容室やサロンは、水と電気を多く使うお店です。現地では次の点を確かめておきましょう。
給排水
シャンプー台を置きたい位置まで排水を引けるかは、レイアウトを大きく左右します。排水の勾配をとるために床を上げる工事が必要になることもあります。
給湯
シャンプー台を同時に使ったときに、お湯の量と温度が足りるかを確認します。給湯器の能力が足りなければ交換や増設が必要です。
電気容量
ドライヤーや施術用の機器、エアコン、照明を同時に使っても容量が足りるかを確認します。容量を上げるには、建物の持ち主や電力会社との調整が必要になることがあります。
換気・空調
薬剤のにおいがこもらないよう、換気の能力と給気口・排気口の位置を確かめます。
残っている設備の状態
譲り受ける設備は、動くかどうか、故障したときの修理を誰が負担するかまで確認しておくと安心です。
美容所の開設には、保健所への届出と確認検査が必要です

美容室を開くには、美容師法にもとづき、開設する前に管轄の保健所へ届け出る必要があります。
そのうえで、美容所の構造設備が基準に適合していることの確認を受けた後でなければ、美容所を使うことはできません。
静岡県の場合、届出の手数料は17,400円、標準処理期間は15日とされています(2026年10月時点の県の案内)。届出には、美容所の構造平面図や付近の見取図、美容師免許証の写しなどを添えます。
浜松市にお店を開く場合は、県ではなく浜松市保健所の管轄です。磐田市・袋井市・掛川市などは、県の保健所が窓口になります。
浜松市は、基準に合わない場合は改善するまで使えないため、事前の図面相談をすすめています。
内装の工事を始めてから基準に合わないことがわかると、やり直しの費用がかかります。設計の段階で図面を持って保健所に相談しておくのが安全な進め方です。
エステやネイルなど、業態によって必要な手続きは変わるため、計画の早い段階で確認しておきましょう。
建築基準法と消防の手続きも確認しておきましょう

内装工事の内容や建物によっては、建築や消防の手続きも必要になります。
用途変更の確認申請
建物の使い方を、飲食店や物販店など建築基準法上の特殊建築物に変える場合、その部分の床面積が200㎡を超えると確認申請が必要です(2019年6月に100㎡から200㎡に改められました)。
200㎡以下で申請が不要な場合でも、建築基準法や消防法に合っていることは引き続き求められます。お店の業種や建物のもとの用途によって判断が変わるため、物件を決める前に確認しておくと安心です。
消防への届出
浜松市では、お店などの使用を始める日の7日前までに、管轄の消防署へ「防火対象物使用開始届出書」を出すことが定められています。届出には平面図や仕上表、消防用設備の図面などを添えます。
ほかの市でも火災予防条例で同じような届出が定められているため、出店する市の消防本部に確認しましょう。
内装材や間仕切りの変更が、避難の通路や感知器の配置に影響することもあります。図面の段階で確認しておくと、工事後のやり直しを防げます。
開業までの進め方とスケジュールの考え方

居抜き物件での開業は、おおむね次の順番で進みます。
- 物件の候補を探す
- 改装を依頼する会社と現地調査をし、使える設備と直す部分を確認する
- 概算の工事費とスケジュールを出してもらう
- 賃貸借契約・造作の譲渡契約を結ぶ
- お店のコンセプトを整理し、設計・プランを決める
- 保健所や消防に図面で相談する
- 撤去・下地工事、内装・設備工事
- 保健所の確認検査などを受け、開業
スケジュールを考えるときは、家賃が発生する日と工事期間の関係に注意しましょう。
工事が延びると、営業していない期間の家賃がかかります。物件の契約前に工事期間の見通しを立てておくと、オーナーとの交渉や開業日の設定がしやすくなります。
機器の納期や、看板・内装材の手配に時間がかかることもあるため、余裕を持った計画がおすすめです。
加藤建築の店舗設計・施工では、居抜き物件の調査から伴走します

加藤建築は、注文住宅で積み重ねてきた木の扱い方や素材選び、空間設計の経験を活かして、店舗設計・施工も行っています。対応する業種には、美容室・サロンも含まれます。
現地調査では、建物の状態や設備、寸法、天井高、配管・配線、既存の内装などを確認します。居抜き物件の場合は、活かせる部分と改修が必要な部分も調査します。工事では、活かせる内装や設備は残しながら、不要な部分を撤去して下地をつくり直します。
施工事例の店舗改築×デザイン case15は、居抜きの建物を美容室に改築した事例です。店舗×デザイン case05では、明るくゆったりとくつろげるプライベートサロンをデザインしました。
設計から施工まで大工が一貫して対応し、お客様とスタッフの双方にとって使いやすい動線を考えた空間をご提案しています。
まとめ:居抜き物件を契約する前のチェックリスト

最後に、居抜き物件を契約する前に確認しておきたい点をまとめます。
- シャンプー台を置きたい位置まで排水を引けるか
- 給湯器の能力と電気容量は足りるか
- 換気と空調の能力、給気口・排気口の位置
- 譲り受ける設備の状態と、故障時の負担
- 退去時にどこまで元に戻す必要があるか
- 保健所の基準に合う内装にできるか(図面で事前相談)
- 用途変更の確認申請や、消防への届出が必要か
- 工事期間と家賃が発生する日の関係
居抜き物件は、うまく活かせば開業までの費用と時間を抑えられます。
そのためにも、契約の前に現地を見て、使える部分と直す部分を見きわめておくことが大切です。
気になる物件があれば、契約前の段階からご相談ください。
図面と現地の両方で確かめておくと、開業後に使いにくさを感じる場面を減らせます。
よくある質問
Q. 前のお店も美容室だった居抜き物件なら、そのまま開業できますか?
A. そのまま開業できるとは限りません。席数やシャンプー台の数、使う機器が変われば、給排水・給湯・電気容量が足りないことがあります。また、開設のたびに保健所への届出と確認検査が必要です。
Q. 美容室の開設には何の手続きが必要ですか?
A. 美容師法にもとづき、開設前に管轄の保健所へ届け出て、構造設備が基準に合っているかの確認を受ける必要があります。浜松市は浜松市保健所、磐田市・袋井市・掛川市などは県の保健所が窓口です。
Q. 静岡県で美容所を開設するときの手数料はいくらですか?
A. 静岡県の案内では、手数料は17,400円、標準処理期間は15日です(2026年10月時点)。浜松市は市の保健所が窓口になるため、浜松市保健所に確認してください。
Q. 居抜き物件の改装で、消防への届出は必要ですか?
A. 必要になることがあります。浜松市では、使用を始める7日前までに防火対象物使用開始届出書を管轄の消防署へ出すことが定められています。ほかの市でも同じような届出があるため、出店する市の消防本部に確認しましょう。